【論述も面接も受験団体によって差が?】国家資格キャリアコンサルタント実技試験における協議会とJCDAの違い

 みなさん、こんにちは!

パーソンズ(旧サコキャリ)のサコです。

 

私は、キャリアコンサルティング協議会(以下、協議会)日本キャリア開発協会(以下、JCDA)の両団体の実技試験を受験するというおそらく珍しい経験をしました。

そこで、今回は、協議会JCDAの実技試験をそれぞれ受験した私が感じた両団体の差について、細かくまとめてみました。


私は、協議会対応の養成講座で学び、第6回の協議会の学科試験、第8回のJCDAの実技試験で合格しました。

実は、第6回と第7回の協議会の実技試験では不合格という結果でした。

この2連続の失敗は、私に試験の怖さを覚えさせるだけでなく、出口のないくらいトンネルを歩いている気分にまでさせ、復習のために開いた養成講座のテキストが以前より分厚くさえ見えました(笑)

 

受験団体の変更の経緯と違いについて

受験団体を変更する過程での情報収集により、怖さを感じていた試験が、少しずつ楽しみなものに変わっていく経験もしました。

 

以下4項目は、全て私が悩み、考え、解釈した内容をそのまま記録しています。
私見や断片的な情報も多く含まれますが、受験される方の参考になれば幸いです。

 

1、なぜ受験団体を変更したのか?

2、実技試験における採点基準の違い

3、論述試験における違い

4、面接試験における違い

 

1、なぜ受験団体を変更したのか?

 

受験団体を変更した理由はJCDAの試験が自分に合っていると感じたからです。

第6回、第7回と協議会の面接試験に連続で落ちたことで、再受験のモチベーションは限りなく0に近づいていました。

試験に申し込むのが億劫になり「もう諦めようかな」とさえ思いました。

 

しかし、「ここまで頑張って来たのだから、簡単に諦めてはいけない」と思い、国家資格キャリアコンサルタント受験者向けの無料相談に申し込んでみることにしました。

カウンセラーはJCDAでの合格者であり、初めてJCDAについて深く話を聞きました。

 

JCDAは【心の変容】、協議会は【行動の変容】を重視してるんですよ。」

というカウンセラーの言葉を聞いた時、

JCDAと自分に共通点を発見できたかの様な不思議な気持ちになりました。

 

私は「自分の言葉や行動で、相手の心を少しだけポジティブにできた瞬間が好きだ」と感じていたので、急にJCDAに親近感が湧きました。

それまで、協議会での受験を前提とした情報収集しかしていませんでしたが、書籍や有料セミナーを通じてJCDAの実技試験についても調べてみることにしました。 

地道に情報収拾を重ねていくと、合格率だけではない受験団体ごとの特徴に気づくことができました。

 
そして、養成講座は協議会対応でしたが、自分に合うと考えて、
JCDAの実技試験に申し込み、最終的に合格できました。
振り返ると、受験団体と自分の相性が確認できていたので、
試験にも怖さを感じずに臨むことができたことが印象に残っています。

  

2、実技試験における採点基準の違い

 

受験団体を変更するに当たって、まず確認したことは、採点基準の違いです。


百聞は一見に如かずだと思い、下記リンクの試験要項を熟読しました。

 

協議会> https://www.career-shiken.org/about.html

 <JCDA> https://www.jcda-careerex.org/information/requirements.html

 

記載されている内容は、重なっている部分も多いです。
ご確認いただいてお分かりになる通り、違いは、下記2点です。

 

①【論述試験の問題数】

  協議会:1問

  JCDA :1〜2問

 

②【面接試験の評価区分】

  協議会:「態度」「展開」「自己評価」

  JCDA :「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」

 

まず、【論述試験の問題数】の違いについてですが、
そもそも論述試験については、両団体で問題や回答アプローチが異なります。

そのため、問題数の違いを考察するよりも、どんな内容が出題されているかを過去問から把握することが先決だと感じました。

下記がリンクとなりますので、見比べた事が無い方はご覧ください。

 

協議会 過去問> https://www.career-shiken.org/past.html#contents02

JCDA 過去問>  https://www.jcda-careerex.org/past.html

 

読んだ方は、いくつか疑問や感想が出てくるはずです。
私が実際に受験して感じた違いについては、次項にて記載いたします。

 

次に、【面接試験の評価区分】の違いについて、整理してみました。

インターネットの情報だけで、この違いを整理することは難しいことかもしれません。

少なくとも受験当時の私には、できませんでした。

そこで、私は有料講座を活用しました。

 

ここでは、そうした講座の内容も踏まえ、各評価区分をどう噛み砕いて整理したかを
ご紹介いたします。

不足している視点や別の説明の仕方も多くあると思いますので、
参考までにご覧ください。

 

協議会

「態度」・・・ コンサルタントが褒めすぎたり、知ったかぶりせず、クライエントを受け止め、伝え返しを行い、クライエントが話しやすいと感じる雰囲気が作れたか?

「展開」・・・コンサルタントの質問や提案により、クライエントに気づきが生まれ、発言内容・表情・仕草などに変化はあったか?

「自己評価」・・・コンサルタントの「態度」や「展開」のポイントについて、15分間以降のプロセスも踏まえて、分かりやすく具体的に言葉にできたか?


<JCDA>

「主訴・問題の把握」・・・「経験代謝」を活用して、クライエントが悩むきっかけとなった時のことをコンサルタントが鮮やかにイメージすることができたか?

「具体的展開」・・・「経験代謝」を活用して、そのクライエントらしい言葉を引き出し、自問自答を促し、クライエントが気づきを獲得できたか?

「傾聴」・・・「受け止め・伝え返し・声のトーンやスピード合わせなどといった傾聴技法」を使って、クライエントに話しやすいと感じてもらえたか?

 

いかがでしょうか。
上記は私が苦手だったことを克服する意味であえて言葉にしている箇所もあります。
ぜひ、皆さま自身の言葉で採点基準を整理していただければと思います。

 

下記、補足です。

協議会対応の養成講座では、JCDAの実技試験へ臨む上で理解必須となる「経験代謝」「自己概念の影」を学ぶ機会はありませんでした。

上記、キーワードが初耳な方は、JCDA立野会長の下記論文(無料公開されています)をご覧ください。

 

キャリアカウンセリングとは何か? 
 第1章 https://www.j-cda.jp/prev/member/thesis/download/ronbun.pdf

 第2章 https://www.j-cda.jp/prev/member/thesis/download/ronbun2.pdf

 第3章 https://www.j-cda.jp/prev/member/thesis/download/ronbun3.pdf

 

また、JCDAで受験する方は、下記記事を是非お読みください。
評価基準が、シンプルかつ丁寧に解説されています。
https://opti-career.com/career-consultant170914/

執筆者は私が受験期にお世話になった「オプティキャリア」の「のん」さんです。
https://opti-career.com/profile/

 ※のんさん、掲載許可いただきありがとうございます!

 

3、論述試験における違い

 

この項目では、私が体感したり、学習した論述試験での違いを3点書きます。

前述しましたが、下記の過去問をぜひ開きながらご覧ください。

 <協議会 過去問> https://www.career-shiken.org/past.html#contents02

 <JCDA 過去問>  https://www.jcda-careerex.org/past.html

 

 ① 正解を絞れる問題があって嬉しいJCDA

 →協議会の問題は全問記述式ですので、選択肢のある問題はありません。

  難易度が低いと言われることの多かった【設問1】についても、
  より精度の高い文章を書こうと思って時間をロスするケースが私はありました。

  一方で、JCDAの【問い2】は「相応しい」か「相応しくない」か選んで、
  その理由を記述するものです。私は公開されている過去問3回分の添削を有料
  講座にてお願いし、正解を絞る方法が身についたと感じるまで対策しました。

  正解できる自信のある問題があることは、私にとって安心して論述試験に
  望める理由の一つになっていました。

 

 ② 逐語記録が早く読めるのにネタが多く埋まって
  いて嬉しい(けど悩ましい?)協議会

 →協議会の問題は、来談目的の逐語が省略されて冒頭にまとめられているので、  
  JCDAと比べると文字数が少なく、早く読めるように感じました。

  しかし、目を通すと分かりますが「クライエントのどのセリフを問題として
  捉えよう?」と悩むくらい、自己理解や仕事理解の不足箇所が沢山見つかります。

       有料講座の講師によっては、
  「【設問2】のところで、問題だと判断できた箇所は根拠と共に逃さず記述すれば
       点数になりやすいから」とアドバイスをもらったくらいです。

  【設問3】のコンサルタントからクライエントへの2種の提案も多くの可能性を
       考えられます。人により見方は異なりますが、回答者目線の問題だと感じました。

  ただ、ネタや回答の方向性が幅広い分、何を書いたら良いか分からず悩んでしまう
  方もいらっしゃるのではなかろうかと推察します。

 

③ 回答の方向性が絞られていて助かるJCDA  

 →①・②でも触れましたが、協議会の問題は自由度の高い部分があるので、
  全く筋の違う回答(大外しの回答)を書いてしまうリスクがあると思います。

  もしかしたらこの点は、JCDAと比べて協議会の方が論述試験の平均点が
  毎回少し低い傾向にあることと関連があるかもしれません。
  

  一方で、JCDAの問題は、
   【問い3・4】の回答に使用するネタが協議会よりも絞られていると思います。

  問題の逐語録に目を通すと、冒頭のクライエントが来談目的を話す部分や
  クライエント固有の言葉や感情をそのまま伝え返す部分が多くを占めていることが
  分かると思います。

       つまり、クライエント固有の言葉や感情(自己理解不足)を問題として捉え、
  回答していくと言う方向性が予め定まっています。

  私はこの点でJCDAの問題の方が回答しやすいな、と感じました。


細かい点にも言及しましたがいかがでしょうか。

ちなみに、両団体の問題と回答で使われる日本語に注意を向けると、
協議会では【設問】、JCDAでは【問い】という表現の違いに気づきます。

当然、こうした細かな違いは合否に全く影響がないと思います。
ただ、小さな気づきでも、試験を身近に感じる効果が私にはありました。 

 

 

また、JCDAで受験する方は、下記記事をぜひお読みください。
使えるキーワードまとめ部分など、大変参考になると思います。

http://amq87-coaching.hatenadiary.jp/entry/2017/07/15/キャリアコンサルタント試験対策%282%29_論述

例えば私の場合は、【問い1】で指定された語句を、
上記の記事で挙げられているキーワードで置き換えができるか?などと考え、
試験への理解を深めたりしました。

(執筆者は「amq87さん(はてなブログID)」さんです。掲載許可いただき、ありがとうございます!)

 

4、面接試験における違い

 

最後に、私が体感したり、学習した面接試験での違いを4点書きます。
あくまでも私が感じたことですので、ぜひ別の方の意見や感想も集めてみてください。

 

  ① メモがないからクライエントに集中しやすい協議会

       →協議会ではメモ用紙とペンは渡されないので、メモは物理的に不可能です。
   目の前のクライエントの話を集中して聞く外ありません。
           テーブルの上に、クライエントの設定が書いてある紙が置かれましたが、
           クライエントから目線を外したくないなと思ったのと、
           試験部屋への入室前に読む時間が設けられているものだったこともあり、
           特に使用しませんでした。

   一方で、JCDAではクライエント役から入室後にメモ用紙とペンをもらいます。
   私はクライエントから目線を外さないという意味で、事前に使わないと決めて
   いました。
           しかし、いざ試験部屋に入ると、やっぱりこのメモは意味があるから
   使うべきなのか?、もしかして有効に使えば加点ある?、などと迷いました。
   試験の本質とは関係ない余計な事を考えてしまいました。
   

  ② 面接官からの声掛けでリラックスできたJCDA

  → 第6〜8回いずれの試験も、試験部屋に入室すると着席するよう指示があり、
    試験内容や注意事項が面接官によって読み上げられました。

   その後、協議会ではすぐにロープレを始めるよう指示があり、ストップ
    ウォッチが押されました。少し慌ただしかった印象が今でも残っています。
 
    一方、JCDAでは面接官から私とクライエントに向けて、「椅子の位置は両者
   よろしいですか?」との声掛けがありました。簡単なコミュニケーション
   でしたが面接官からの気遣いが感じ取れ、少し気持ちが楽になりました。

   ただ、これは事前にキャッチしていた情報ではなかったので、
   面接官によって違うのかもしれません。

 

 ③ クライエントの最初の応答が短くて助かったJCDA

  →協議会の試験でロープレを行う時、私には困ったことがありました。
   「クライエントが切り出す来談目的が長過ぎて混乱する」というものでした。

    今振り返ると、「来談目的を正確に伝え返そう!」という気持ちが強過ぎて、
   クライエントが何を言いたいのか把握することに集中できていなかったのです。
   
           一方で、JCDAでは論述試験の【事例I・II共通部分】の一行目にある様に、
   来談目的が非常に短くまとまっています。

   それにより、受け止めたり、伝え返す内容がいきなり食い違ってしまうかも
   しれない、という不安を感じず、ロープレに集中して入ることができました。

   案の定、クライエントと会話のキャッチボールが最初に確実に行えたので、
   その後の応答が多少長くても、焦ったりぜずに進められました。
   

  ④ ロープレ中の失敗を口頭試問で取り返せる協議会

   → 「協議会ではロープレ中の失敗を逆にチャンスに変えられるかもしれない!」と
   聞くと少し安心しませんか。口頭試問でコンサルタント側が自身の15分間に
   ついて振り返る時のテクニックです。

   協議会対応の養成講座や有料講座の講師は
   「リカバリー」や「リカバリーショット」などと表現していました。

   要するに、自分の出来なかった点をきちんと把握していたり、
   時間が無くて聞けなかった質問について口頭試問で的確に言及すること等が、
   プラス評価になり得るということです。
    
     上記はJCDAでも当てはまることだそうですが、
   協議会のように【自己評価】が評価区分には入っていないので、
   合否への影響は協議会と比べると薄いとの情報も有料講座の中で知りました。

 

 

いかがでしたか。

上記以外で言及するなら、集合場所や試験部屋の雰囲気、案内のされ方、
面接官の人数などには違いがほとんどなく、
3回も受験するともう見慣れた景色になっていました。

クライエント役について、
「意図的にイライラさせるように話すクライエント役がいた!」との情報を聞くこともありましたが、私の場合は、3回とも丁寧な方々でした。

年齢や服装も役の設定に寄せるように、工夫されていることも見受けられました。 

 

上記は、あくまで私の面接試験に対する経験や解釈ですので、
参考程度にお考えください。

 

 まとめ

4つの項目についてまとめましたがいかがでしたか。

協議会での受験に失敗し、JCDAで合格した人間がまとめた実技試験の違いですので、
JCDAの方が試験対策しやすいかも、という印象をお受けになったかもしれません。

ただ、それは私の本当にお伝えしたいことではありません。 

 

私は「実技試験の内容理解」が深まるほど、

どちらの団体で受験しても「実技試験の本番が怖くなくなる」ということをお伝えしたいです。

 

実技試験の内容理解を深める方法は、色々あると思います。
過去問を解いたり、ロープレ勉強会に参加したり、詳しい人の話を聞いたり、
インターネットで調べたり、逆に情報発信を行うのも面白いと思います。


また、最近耳にしたのですが、日程の都合で、養成講座の対応団体とは
違う団体の試験を受けなければならない方も一定数いらっしゃるそうです。

 一見すると両団体の試験はとても似ていますが、異なる点も多数あります。

 

合格へ向け、注意して情報収集を進めていただければと思います!
みんなで一緒に合格を目指しましょう!

 

最後に、

もし何か質問がある方は、パーソンズ(旧サコキャリ)のTwitter(@sacocareer)までDMをお送りください!

ついでに、エールも送らせていただきます。(フォローも是非)

 

過去記事はこちらから

www.sacocareer.work

 

以上、長文ですみません。


サコでした。

 

”未来のパーソンズ”オリジナルのキーワード暗記集を発売しました

この度、国家資格キャリアコンサルタント試験の学科試験に頻出のキャリア理論と人物に焦点を当てたキーワード暗記集を作りました。

自分たちが、キャリア理論と人物を覚えることに苦戦したことをきっかけに、少しでも覚えやすくなるように問題形式で作っています。

 

f:id:sacocareer:20181205012241j:plain

 

ぜひ、こちらのURLから覗いてみてください。

 

販売価格は300円で、Kindle unlimitedの方は無料で見ることができるようです。

 

Amazonでも奇跡的に2位にランクインしています。

 

f:id:sacocareer:20181205012044p:plain